ラスト・クリスマス

ロンドンを舞台にしたクリスマスらしい愛の佳作だ。前半30分を観て、ヒロインのケイト(エミリア・クラーク)に感情移入できる観客は少ないだろう。母親と姉が嫌いだからと、キャリーバッグを引きずってあちこちの友人の家に転がり込み、失敗を繰り返しては追い出される。酒場で知り合った男のアパートに転がり込んでは、セックスと引き換えに宿泊を頼む。少…
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ファイティング・ファミリー

似たようなスポーツや芸術をテーマにしていても、イギリス映画はハリウッド映画とは一味違う。事実を基にして英国のプロレス一家を描いた「ファイティング・ファミリー」は、家族の物語だ。父親は暴力沙汰で服役し、出てきたところで自殺未遂の麻薬女と出会い、ひと目ぼれする。父親はこの女と再婚して長男、長女をもうけるが、“銀行強盗とは縁を切って”プロ…
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THE INFORMER

冒頭から緊迫感漂う演出に圧倒される。主演のジョエル・キナマンが鬼気迫る熱演を見せるほか、情報屋を操るFBI捜査官の冷酷さ、部下を殺されたニューヨーク市警の刑事の執念など、見所満載だ。ポーランド移民の両親を持つ米国人のコズロー(ジョエル・キナマン)は、妻に絡んだ男たちと諍いになって殺し、服役していた。イラク戦争で狙撃兵をしていたコ…
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アナと雪の女王2

ヒット作の続編は面白くならないのが常識だが、これは違う。前作「アナと雪の女王」から5年。脚本家は素晴らしい成果を見せている。前作で簡潔に描かれていたアナとエルサの父母の謎が解ける。両親が船旅に出て、海難事故で亡くなったというエピソードも、意外な形で再生される。この作品で最も重要視されたのは、「エルサはなぜ氷の魔法を授かったのか?」だ…
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野鳥俳壇19年12月(日本野鳥の会・会報「野鳥」掲載)

* 特選 草刈りや案山子に似たる鷺一羽    愛知県・丸岡正彦さん 【選評・辻桃子】畦の草刈りをしていると案山子のような鷺が一本足で立っていた。じっと立っている鷺に作者は俳味を感じたのだ。 * 入選 鳥を待つ九月の沼の真つ平ら    静岡県・岩崎武士さん 【選評・辻桃子】野鳥観察によく行く沼なのだろう。波のない水面の静…
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ルノワールとパリに恋した12人の画家たち

BS日テレの「ぶらぶら美術」で、山田五郎氏がユーモラスに解説していたように、横浜美術館で開催されている「ルノワールとパリに恋した12人の画家たち」の主人公は、これらの絵を収集したポール・ギョームだ。20世紀初頭のパリで、自動車修理工だったギョームが、偶然にも目にしたアフリカ彫刻に魅了されてコレクターに転身し、画商として成功しながら、…
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最初の晩餐

今までに家族をテーマにした映画は数多く作られてきた。常盤司郎監督が脚本、編集も担当した「最初の晩餐」も、家族がテーマだ。地方都市のある家で父、日登志(永瀬正敏)が末期癌の末に亡くなる。物語は、殆どが長男でカメラマンの麟太郎(染谷将太)のナレーションと視点で描かれるが、姉の美也子(戸田恵梨香)の視点も混ざっている。父親の葬儀の一昼夜を…
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決算!忠臣蔵

日本映画史上、“討ち入り場面のない”初めての忠臣蔵映画になっている。その上、宿敵の吉良上野介はまったく出てこない。原作は山本博文「『忠臣蔵』の決算書」で、監督の中村義洋が脚本も担当しているが、ファーストシーンは火消しの場面。映像で慣れ親しんできた四十七士の討ち入り装束は、赤穂藩の火消し装束だったのだ。これが最後に活きてくる。全編を貫…
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ベル・カント

1996年、日系のアキノ大統領時代のペルーで、反政府勢力ゲリラによる日本大使公邸占拠事件が起きた。実際の事件でも、最終的に大統領が指揮する軍隊による突撃策で事件は決着を迎えたが、この物語でも同じ結末が用意されている。だが、とても哀しい最後だ。事件からヒントを得て書かれたアン・バチェットの原作を、ポール・ワイツ監督が映画化している。主…
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影踏み

横山秀夫の「影踏み」(祥伝社文庫)が映画化されたが、この作品のテーマは一卵性双生児だ。ここでは、過去に双子の弟を失った兄が主人公になっている。双子はそっくりで、まるで影のようにつきまとう。大学で法律を学んでいた優秀な兄の修一(過去は北村匠海・現在は山崎まさよし)とは対照的に、弟の啓二(北村匠海)は受験に失敗して非行に走り、窃盗を…
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閉鎖病棟

この物語の主人公は誰だろうか。中心となるのは、精神を病んで入院している独身青年チュウさん(綾野剛)、過去に殺人を犯した車椅子の秀丸(笑福亭鶴瓶)、義理の父親にレイプされていた由紀(小松奈菜)。長野県の精神病院が舞台なので、入院患者たちがたくさん登場する。患者たちのために陶芸室や休憩室、園芸や体操もあれば、カラオケ大会もある。だが、患…
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ひとよ

チラシには「あの夜、母は父を、殺した。子どもたちの幸せと信じて―15年後、母が、帰ってきた」「壊れた家族は、つながれますか」「親と子は、どうしていつもすれ違う」と記されている。これだけで、この物語の概要がわかるだろう。15年前、茨城のある町で、家庭内暴力を振るい続けていたタクシー会社経営の父親を、妻(田中裕子)が車で追突死させてしま…
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マチネの終わりに

40歳を越えた男女のすれ違いドラマになっている。少年時代から抜きん出た才能を謳われてきたクラシックギターリストの蒔野(福山雅治)は、講演後に楽屋で一度会っただけのジャーナリスト、小峯洋子(石田ゆり子)に恋をしてしまう。だが、洋子には婚約者がいる。デビュー20周年の蒔野は、自分の音楽に行き詰まりを感じている。もう若くなく、どこを目指せ…
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独ソ戦・絶滅戦争の惨禍(大木毅著、岩波新書) 

1941年6月から1945年4月にわたって、ヒットラー率いるドイツ軍とスターリン率いるソ連軍とが壮大な戦争を繰り広げた。ソ連軍の被害だけを見ても、戦死、戦傷死、戦病死、行方不明、捕虜を合計すると、1128万人に達している。神奈川県の人口よりも200万人近く多いのだ。膨大な数である。戦前の日本軍が失った兵士の数は300万に近いが、その3倍…
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ジョーカー

ジョーカーを演じるホアキン・フェニックス、渾身の役作りだ。怖いほど痩せている。上半身裸の後姿にはぞっとする。浮き出た肩甲骨、少年たちに襲われた後の大きな痣。だが、それよりも恐ろしいのは、この男の心の傷だろう。最愛の母親と二人暮らしのアーサー(ホアキン・フェニックス)には、隠された秘密があった。母親が生活援助を願って手紙を出しつづける…
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最高の人生の見つけ方

2007年公開の同名映画の主演俳優、ジャック・ニコルソンとモーガン・フリーマンの役柄を平凡な主婦役の吉永小百合とホテルチェーンオーナーで大富豪役の天海祐希に換えて作られた作品だ。現代日本の70歳の主婦と、大成功を遂げた女性社長が共に末期癌になってしまうという設定から始まっている。ジャスティン・ザッカムの原作を脚色したのは、浅野妙…
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NHK学園・月山俳句大会

19年10月23日に「NHK学園・月山俳句大会」が山形県西川町で開かれた。自由題と題詠「信」とを合わせると、投稿句は3871句だった。選者は宮坂静生氏、柏原眠雨氏、津高里永子氏、星野高士氏。   * HNK学園市月山俳句大会大賞 半夏雨防災食を食べてをり   神奈川県・田中洋子さん (選評・津高里永子)災害に備えた保存用のも…
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スペシャル・アクターズ

何も知らずに劇場へ行く観客は、少なくとも3回は騙される。周到に作り込まれたコメディー脚本だ。「カメラを止めるな!」で一躍脚光を浴びた上田慎一郎監督の脚本力が並々ならぬものだと立派に証明した結果になった。まるで売れない役者志望の青年・和人(大澤数人)は、突然失神してしまう。かかりつけのメンタルクリニックの医師に「男性に強圧的に迫られる…
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楽園

吉田修一原作の「犯罪小説集」から短編小説を組み合わせた脚本になっている。作品の舞台は地方都市の山村だが、視点は二つに割れている。視点は一つ、というのが映画脚本の基本だから、瀬々敬久監督が執筆した脚本は多少基本から外れている。そのため、二人の主要人物から成り立っている。一人目は、小学校からの下校路で友達の失踪事件に関係してしまった女性…
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ブルーアワーにぶっ飛ばす

東京のど真ん中でCM監督として忙しく働きながら、優しい夫を裏切って不倫も続けている30歳の女性ディレクターの内面を描いた作品だ。作品の大半が、ヒロインの心の問題だから、心象風景を描かなければならない。小説なら巧みな心理描写を書き込むが、映像作品では心理描写の方法は限られている。ひとつはナレーションで、フランス映画でよく使われている。…
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