実りゆく(20年公開・DVD)

長野のりんご農家を舞台にした物語だ。2018年にオフィスクレッシェンド主催の「未完成映画予告編映画大賞」に出品された予告編が関係者の評判を呼び、爆笑問題の所属する芸能事務所タイタンが製作することになった。長野のりんご農家の一人息子、松尾実(竹内一希)は、幼い頃から吃音障害があり、苛められてきた。小学生のときに母親が病死し、父親(田中…
コメント:0

続きを読むread more

水上のフライト(20年公開・DVD)

タイトルのフライトは、跳ぶことを指している。大学陸上部で走り高跳びのエースだった女子選手が交通事故で脊椎損傷の身となり、失意のどん底からパラリンピックのカヌー選手をめざすまでを描いている。脚本も担当した土橋章宏が2017年のツタヤ主催の映画企画コンクールで審査員特別賞を受賞した作品だ。選考当時は3年後の世界的パンデミックの影すらなか…
コメント:0

続きを読むread more

喜劇・愛妻物語(20年公開・DVD)

報知映画賞・主演女優賞、TAMA CINEMA FORUM・主演女優賞、毎日映画コンクール・主演女優賞、キネマ旬報・主演女優賞と、「喜劇・愛妻物語」で売れない脚本家の妻を演じた水川あさみは、20年の映画界で脚光を浴びた。原作・脚本・監督の足立紳が、自らの実人生を素材にして面白い夫婦譚に仕立て上げている。タイトルに「喜劇」がついている…
コメント:0

続きを読むread more

弱虫ペダル(20年公開・DVD)

テーマは友愛。孤独なアニメ少年が、なぜか自転車競技愛に目覚めていく。高校入学を彩る満開の桜並木を初めとして、自然豊かなコースを登場人物たちが疾走する。晴れ渡った天候の元、ロケを多用した明るく爽やかな作品になっている。原作・渡辺航、脚本・板谷里乃、監督・三木康一郎。アニメ好きで友達のいない小野田坂道(永瀬廣)は、ママチャリで千葉から秋葉原…
コメント:0

続きを読むread more

きみの瞳が問いかけている(20年公開・DVD)

韓国映画「ただ君だけ」を、吉高由里子と横浜流星の共演でリメイクしている。登米裕一の脚本には韓国映画らしい設定と展開が残っている。往年のハリウッド映画に見られた劇的でロマンチックなラストも待っている。児童養護施設で育ったキックボクサーのアントニオ・篠崎塁(横浜流星)は、裏社会の仲間に誘われて犯罪に加担して3年5カ月の実刑を受けた。今は…
コメント:0

続きを読むread more

望み(20年公開・DVD)

タイトルの「望み」とは裏腹に、やりきれなさの残る作品だ。雫井脩介の原作を奥寺佐渡子が脚色しているが、ほぼ原作どおりだろう。子育てをしたことのある者なら、重い苦味が涌き出てくるような結末になっている。赤堀雅秋監督「葛城事件」の主人公は、連続殺人事件を起こした加害者の父親だったが、彼は世間からの壮絶なバッシングの中、開き直って生きる道を…
コメント:0

続きを読むread more

浅田家!(20年公開・DVD)

中野量太監督は、家族を専門としてきた。大評判を取った「湯を沸かすほどの熱い愛」では風呂屋の家族を描き、「長いお別れ」では、認知症を患った父親と娘たちの物語を描いた。「浅田家!」は、実在の写真家、浅田政志をモデルとした家族の物語だが、この作品は才能とは何かを問いかけてもいる。少年の頃、専業主夫の父親(平田満)から譲り受けたカメラが、政…
コメント:0

続きを読むread more

糸(20年公開・DVD)

平成から令和へと元号が変わる時を狙った恋愛大河ドラマだ。平成元年生まれの主人公たちが、平成13年から平成31年までの18年間を生きていく物語。平野隆原案、林民夫の脚本の中に織り込まれているのは、平成21年のリーマンショックと平成26年の東日本大震災だが、主人公の2人との関わりは深くない。北海道の美瑛で知り合った中学1年の高橋漣(菅田…
コメント:0

続きを読むread more

ストックホルム・ケース(20年公開・DVD)

犯罪に巻き込まれた人質と犯人との間に恋愛感情が生まれ、人質が犯人に感情移入してしまう心理状態は、ストックホルム症候群と言われる。この作品に描かれているのは、その語源となった実際の事件の顛末だ。ダニエル・ラングの記事を元に、ロバート・パドロー監督が脚本も担っている。1973年、ストックホルムの大銀行「クレジット銀行」に、ラース・ニース…
コメント:0

続きを読むread more

エンドレスナイト(1971年日本未公開・DVD)

「エンドレスナイト」はアガサ・クリスティシリーズとして発売された作品のひとつで、日本未公開の英国作品だ。アガサ・クリスティの作品群の中で、探偵が出てこない「ノンシリーズ」としては最晩年のひとつでもある。1967年に発表されたこの原作の邦題は「終わりなき夜に生まれつく」というもので、ウイリアム・ブレイクの詩「無垢の予兆」の一節から…
コメント:0

続きを読むread more

小吉の女房2(NHKBS時代劇)

NHKBS時代劇「小吉の女房2」が快調だ。勝小吉は、幕末の江戸城無血開城の立役者、勝海舟の父親として知られ、隠居後に書いた「無酔独言」には、自由奔放に生きた小吉の小気味よい生き方が描かれている。山本むつみ脚本のオリジナルドラマだが、テレビドラマとして描かれた過去の勝小吉像の中で最も評判になったのは、1974年のNHK大河ドラマ「勝海舟」…
コメント:0

続きを読むread more

ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ(20年公開・DVD)

サンフランシスコへの切実な思いが作品の原点になっている。サンフランシスコに強い思いを抱くことのない日本人の観客には、伝わりにくい部分が多いだろう。主人公のジミー(ジミー・フェイルズ)と友人のモート(ジョナサン・メジャーズ)との会話の中には、日系人の関りが出てくる。戦前から日系人は米国社会に移住して、その一部がサンフランシスコへ移っていた…
コメント:0

続きを読むread more

ナイル殺人事件(1978年公開・DVD)

22年2月公開予定の「ナイル殺人事件」では、監督・主演のケネス・ブラナーがエルキュール・ポアロを演じているが、78年版はピーター・ユスティノフが演じ、ジョン・ギラーミンが監督している。ナイル河下りの観光船は今でも人気で、たくさんの日本人が体験してきたが、この作品に出てくる「カルナック号」は外輪船で、船出から終点までの旅で5人が死ぬ。…
コメント:0

続きを読むread more

82年生まれ、キム・ジヨン(20年公開、DVD)

1945年、日本は敗戦を迎えて米国の統治下に入り、米国文化が国内に流れ込んで民主化が急進していった。韓国は日本統治下から米国による統治を経て、長く軍事政権が続いた。韓国の民主化が進んでいったのは、87年以降だと思われる。韓国でベストセラーになったチョ・ナムジュ原作の「82年生まれ、キム・ジヨン」は、よく知られているように韓国でもっともあ…
コメント:0

続きを読むread more

復活の日(1980年公開・DVD)

2020年から本格化した新型コロナウイルス感染拡大の中、注目された作品のひとつが、深作欣二監督作品「復活の日」だ。角川映画の中でも指折りの大型娯楽作品として知られていたが、注目された原因は、小松左京の原作にある。執筆当時の世界は、冷戦の真っただ中で、原作は冷戦を前提にして書かれている。1982年、東独のライプチヒで極秘に作られていた…
コメント:0

続きを読むread more

野鳥俳壇21年4月(日本野鳥の会・会報「野鳥」掲載)

日本野鳥の会・会報に掲載されている「俳句を詠もう」には、選者の辻桃子さんが選んだ俳句が並んでいる。 * 特選 たわわなるむらさきしきぶ鵯重く     宮城県・工藤一寿さん 【選評・辻桃子】みっしりと実をつけた紫式部の枝に鵯がきた。枝が揺れ、大きくしなったことだろう、そこに鵯の重さが見える。 * 入選 純白な親に追ひ…
コメント:0

続きを読むread more

家族(1970年公開・DVD)

山田洋次監督が「寅さん」シリーズの合間を縫って撮った社会派3部作の代表作だ。2021年の現在から観ると、驚く場面はいくつもある。長崎の伊王島にある木材工場で働く精一(井川比佐志)は、美しい妻(倍賞千恵子)と父親(笠智衆)、幼い息子と娘の5人で暮らしていたが、突然北海道の開拓地へ行きたいと言い出す。島の友人が北海道の中標津で酪農をやっ…
コメント:0

続きを読むread more

ミッドウェイ(20年公開・DVD)

1942年6月に起きたミッドウエイ海戦の日本側敗北については、戦後様々に議論されてきた。その中で最も注目されたのが米国海軍による日本海軍暗号の解読だった。1976年製作のジャック・スマイト監督「ミッドウエイ」にも暗号解読が出てくる。日本文はひらがな、カタカナ、洋数字、漢数字、アルファベットなど数種類の文字が複雑に混在している。日本語…
コメント:0

続きを読むread more

皇国史観(片山杜秀著、文春新書)

近現代史に興味のある読者にとって、満州事変から終戦までの昭和天皇のあり様は、興味深い存在だ。昭和11年に起きた2・26事件では、若き昭和天皇の確固とした判断がなければ、反乱軍の鎮圧は望めない状況だった。戦況が悪くなるにつれ、最後の一勝を望んだために終戦の決断が遅れ、結果的に原爆投下を許してしまったと言う指摘もある。だが、戦時中、国民…
コメント:0

続きを読むread more

NHK学園・武蔵野市俳句大会

21年3月20日に「NHK学園・武蔵野市俳句大会」が武蔵野市民文化会館で開かれた。自由題と題詠「光」とを合わせると、投稿句は4297句だった。選者は宇多喜代子氏、岸本尚毅氏、岸本葉子氏、西村和子氏。   * HNK学園武蔵野市俳句大会大賞 冬籠鳥のことばを覚えけり   大分県・後藤史子さん (選評・西村和子)今年の冬は疫病流…
コメント:0

続きを読むread more