2016年の米国経済

 昭和20年に日本がポツダム宣言を受諾し敗戦を受け入れた後、事実上の日本の支配者となった米国。サンフランシスコ講和条約締結後も、日本は米国なしには生きていけない国のままだ。「アメリカがくしゃみをすれば、日本が風邪をひく」とまで言われてきた日米関係は、今でもそのまま続いている。
 今、日本では「ルポ 貧困大国アメリカ」(堤未果)「沈みゆく大国アメリカ」(堤未果)など、米国を否定的に見る著作が脚光を浴びている。実際、1月9日には、NY株が1週間で1078ドル下落した。リーマンショック後の2008年10月以来の下げ幅だという。原油相場が、11年11ヶ月ぶりの安値をつけたのが原因だとされている。
 ところが、同じ日、米国労働省発表によると、非農業部門の就業者数は季節調整済みで前月比29万2000人増加している。これは市場予想を超えており、米経済では堅調な雇用情勢の改善が続いていることを示したものだった。昨年12月16日、米連邦準備制度理事会(FRB)は、ゼロ金利政策を終了し、9年半ぶりに利上げに踏み切ったが、その決断の正しさを示したことにもなっている。

 投資家ブロガーのぐっちーさんは、アエラ(1月11日号)で、今年の米国経済について、
「まず第一に、アメリカ経済は引き続き好調な成長が見込まれます」
 と書いている。日本では危惧されている米国内のシェールガス開発の不振も、技術革新が急速に進んで原油価格と対抗できる水準になりつつあるという。
「アメリカではエネルギー価格、特にガソリン価格の下落が消費を加速させることがよく知られています。ガソリンはすでにガロンあたり2ドルを切る状況となり、GDPの70%にも及ぶ個人消費は加速しています」
 米国は日本と違い、移民大国だ。世界各国から多数の移民が流れ込み、彼らが定着して労働力と消費者になる。米国の人口は毎年数百万人単位で増え続けている。資源も豊かで、手付かずの広大な土地が広がっている。職を得た若い移民たちは貯蓄をせず、クレジットカードで旺盛な消費を始めるのだ。結婚離婚を繰り返して子供は増えていく。
 米国議会は昨年、40年ぶりに原油輸出に合意した。
「あれだけ膨大な原油を輸入してきたアメリカが一気に輸出国に転ずる影響は計り知れません。世界経済の枠組みまで変わることになるでしょう。確固たる経済成長に裏打ちされた、新たなアメリカの世界戦略が始まるのです」

 消費税増税がほぼ決まっている日本経済については、
「国内的にも、いよいよ消費税増税が視野に入ってきた日本の消費動向は極めて脆弱で、その前途は多難に見えます」
 と書いている。世界的に見ても、極めて不安感の強い日本国民は消費よりも貯蓄に回す。将来を悲観すればするほど、貯めに貯める。リスやハムスターと同じだ。そして、特殊詐欺にひっかかる。悲観傾向の強い日本人の財布を、明るい楽観的な消費に駆り出すのは至難の技だ。





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