累犯障害者

 刑務所から無事に出所しても、また逮捕され、繰り返し繰り返しムショとシャバを行き来してしまう人々、「累犯者」。その中に生まれついての障害者が多数含まれているという。433日間の刑務所暮らしの後、「獄窓記」を世に出して高く評価された山本譲司氏が次に手がけたのが、「累犯障害者」(新潮文庫)だった。
 菅直人元首相の公設秘書を経て政治家になった山本氏は、衆議院議員だった頃から「議員活動のなかで、福祉の問題に関しては自分なりに一生懸命に取り組んでいた」という自覚があった。政策秘書給与流用事件で服役した時、山本氏の周りには多数の障害者たちがいた。この本は、山本氏の実体験を元に書かれた貴重な作品だ。

 取り上げられている事件は、8つある。「下関駅放火事件」「浅草・女子短大生刺殺事件」「宇都宮・誤認逮捕事件」「売春する知的障害者女性たち」「障害者を利用する偽装結婚の実態」「性的虐待が生む情緒障害者たち」「浜松・ろうあ者不倫殺人事件」「『仲間』を狙いうちする障害者たち」。
 これらの事件はどれも衝撃的だが、「下関駅放火事件」の犯人は印象的だ。
「福田九右衛門、七四歳。出火から三時間後、現住建造物等放火の容疑で逮捕された男だ。八日前まで刑務所に服役していた、元受刑者だった」
 この老人の犯行動機は「刑務所に戻りたかったから、火をつけた」という。福田は軽度の知的障害者で、過去10回服役していた。刑務所の中で半世紀を過ごしてきた福田には、刑務所以外に余生を送る場所はなかったのだ。
 暴力団員に利用され、売春を強要されている知的障害者の女性たちの人生も悲惨だ。本書で取り上げられている女性は少女時代から犯されていたが、たとえ売春でも男性に優しくされることに安らぎを覚えるようになったという。
「『でも、あたしを抱いてくれた男の人は、みんなやさしかった』それから香奈子さんは、風俗嬢や売春婦として働いていた頃の思い出話を次々と口にする。すっかり笑顔に戻った彼女は、最後に、『やっぱりあたし、ずっとずっと男の人と一緒にいたいんだ』と言って、一人大きく頷いた」
 幼い頃から実父に犯され続け、多重人格者になってしまった女性も取り上げられている。彼女の家庭は崩壊し、父は自殺するが、彼女は売春婦となり覚醒剤に溺れてしまう。
 また、外国人との偽装結婚に利用されている知的障害者の女性もいる。自分が誰と結婚させられたのかさえわからないまま暮らしているのだ。暴力団が彼女たちを利用して多額の仲介料金を得ていた。
 
 山本氏は実刑を受けて出所後、犯罪に巻き込まれる障害者達の姿を世に訴えてきた。ジャーナリストの江川紹子氏はあとがきの中で「秘書給与事件によって、私たちは前途有為の政治家を失ったが、代わりに、優れたジャーナリストと果敢な福祉活動家を得たのだ」
 




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この記事へのコメント

通りすがり
2020年10月26日 17:13
糞バカ知的障害で放火して刑務所帰りそして生活保護受けられず腹いせに下関駅放火した死に損ないのキチガイ糞バカじじいが米寿迎えて更に生きてるの?早くくたばれ死に損ない危険粗大ゴミ糞じじい。
あの日
2020年12月24日 13:18
15年近く前のあの日、自分は放火前のあの犯人と門司駅の同じホームにいました。身なりの悪さと浅黒い顔の中、目つきだけが鋭かったことを覚えています。目があった時に「どけっ」という感じで首を横に振り、薄ら怖い恐怖を感じたので、あの男とは離れた車両に乗ったのですが、ずっと気になって、下関駅で降りたのも確認しました。
翌日のニュースで下関駅で火事があり、放火で犯人が逮捕されたと聞いた時に真っ先にあの男の顔が浮かびました。また放火した理由が刑務所に戻りたいと後で知った時に、巻き込まれなくて良かったとも思いました。
現在は出所されてNPO法人に保護されているとのことで安心しました。

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