シンプルフェイバー

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邦題は「ささやかな頼み」。ダーシー・ベルの原作は、出版前から映画化が決まるほど注目を集めたという。ニューヨークまで車で1時間半ほどの町で暮らすシングルマザーのステファニー(アナ・ケンドリック)は、幼い息子の友達の母親、エミリー(ブレイク・ライブリー)と出会う。ステファニーは、夫と義兄を交通事故で亡くしたが、夫の保険金で息子と暮らしている。エミリーは、元ベストセラー作家で大学教授の夫(ヘンリー・ゴールディング)と豪邸に暮らし、ニューヨークのファッション企業で部長をしている。忙しいキャリアウーマンのエミリーは、ママ友となったステファニーに「ちょっとお願い」と、子供のお迎えを手伝わせるようになる。この頼みもシンプルフェイバーだが、エミリーの頼みごとは他にもあるのだ。料理のレシピを公開するブログを運営しているステファニーは、ブログの中で突然失踪してしまったエミリーの情報提供をお願いする。エミリーの夫も警察に相談し、消えたエミリーの行方を探していくと、ミシガン湖の辺で車が見つかり、湖からエミリーの溺死体が見つかる。死体には麻薬の注射跡。しかも、エミリーには400万ドルもの高額保険金がかけられていたのだ。だが、夫は子供の世話をしながら家と大学にいた。ステファニーも子供の世話をしながら、エミリーの家にいたのだ。ステファニーは、エミリーの夫と親しくなっていく。だが、子供が言う「ママを見たよ」と。エミリーは生きているのか。疑惑を抱いたステファニーは、エミリーの過去を追いかけていく。エミリーには双子の妹がいた。父親は屋敷とともに焼き殺されていて、母親は生きていた。屋敷を焼いたのは双子で、家出した二人は行方不明だという。双子が見つかれば、放火殺人の罪を問われるのだ。エミリーと妹は名を変えて、逃亡生活を送っているらしい。ステファニーは、ブログを通じてエミリーに調べたことを伝える。死んだのは、エミリーではなく、双子の妹なのだと。隠れていたエミリーがステファニーの前に姿を現し、エミリーの過去が語られる…。この物語の魅力は、平凡なシングルマザーが、ニューヨークで颯爽と活躍する女性の魔力に引き込まれ、犯罪の渦の中に巻き込まれていくところだろう。ポール・フェイグ監督も、初めてエミリーが現れる場面ではブレイク・ライブリーの魅力を引き出す演出をしている。宝塚の男役スターが舞台に颯爽と現れるように。ミステリーなのだが、4億円を超える保険金、双子、過去の火事と失踪といった古典的常套手段が組み合わされているだけで、新味はない。新鮮なのは、昼間からマティーニを飲み、男顔負けの下半身ネタをさらりと口にし、抜群のファッションセンスを披露するエミリーのキャラクターだけかもしれない。


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