記憶にございません!

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最後まで演じている俳優がわからなかったのが、美人女性キャスターだった。エンドタイトルで驚いたほどだ。実に上手にメイキャップされているし、絶妙なキャスティングだったと感心した。この作品で成功しているのは、主要なキャスティングだ。記憶を失う総理を演じる中井貴一は、すっかりコメディ映画の大黒柱になっている。怜悧な首相秘書官のディーン・フジオカも、野心と冷酷、不倫と計算高さを兼ね備えた男としては最適だろう。中でも際立っているのが、10年の長きにわたって歴代総理を操ってきたという設定の官房長官、草刈正雄だ。内閣を意のままに操り、米国にはへつらう政治家は実際に存在するかもしれない。総理の不倫相手を活き活きと演じる吉田羊のほか、首相の事務秘書官役の小池栄子も素晴らしい。肝心の三谷幸喜監督の脚本・演出はどうだろうか。タイトル「記憶にございません!」は文句がない。傲慢で居丈高で、家庭を顧ず、不倫を繰り返し、国民と家族から忌み嫌われているという設定の総理が、突然石を投げられて記憶を失うという物語は、いかにも三谷監督らしい発想だろう。その秘密を知っているのは周囲の3名だけで、この秘密を守りとおしながら首相の仕事を続けていくという難関の前には笑いがいくつも潜んでいる。極秘プロジェクトと多額の献金。記憶を失い、急に“いい人”になってしまった善人総理は、脅され、強請られ、軽蔑されながら過去の“悪人総理”と訣別しようと決意する。古き良きハリウッド映画への造詣が深い三谷監督の脳裏には、ジェームス・ステュワート演じる正義感溢れる政治家の姿があるかもしれない。かつてハリウッドで感銘深く描かれたヒューマニズムに惹かれているのかもしれない。記憶を失って善人総理になってしまった主人公が周囲の人物たちを善意へと巻き込み、とうとう悪の象徴、官房長官を罷免させるという展開になっている。いわば、勧善懲悪だ。極めて個人的におかしかったのは、記憶を失った総理を首相官邸へ案内する小池栄子が、ふと立ち止まってお尻を突き出す場面だ。「首相はいつもここで私のお尻をお触りになられていましたから」という台詞が最もおかしかった。

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この記事へのコメント

ミ〜くん
2019年09月18日 18:32
同感です(^∇^)
久し振りの三谷監督作品、とても楽しみにしていました。
裏切りませんね!満足でした。