カイジ・ファイナルゲーム(19年公開・DVD)

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福本伸行原作の「カイジ」シリーズは、現代社会の貧困層の存在を強烈にアピールしてきた。主人公のカイジ(藤原竜也)は、ギャンブルに群集まり、僅かな望みすら失ってしまう者たちを「お前たちはどうしようもない馬鹿だ」「クズ、クズ、クズ!」と罵倒するが、それは自分の姿でもあり、カイジこそ典型的な弱者の一人なのだ。「カイジ・ファイナルゲーム」は、コロナ禍直前に公開されているが、コロナ禍を前提にしていても、立派に通用するほどの先見性がある。今回は2020年の東京オリンピック・パラリンピックが無事に済んだ日本に大不況が襲いかかるという設定だ。円は暴落し、ハイパーインフレになり、缶ビールが1本1000円になる。このアイデアには根拠がある。2021年の日本は1200兆円もの負債を抱えている。デフォルトを起こさないのは、国民の資産が1900兆円もあるからだが、コロナ禍の財政出動で700兆円の差は急速に縮まっていく。この作品の政府は、ハイパーインフレを乗り切るために、預金封鎖と通貨切り替えを行おうとする。これにも前例がある。第二次世界大戦直後の日本は、実際に預金封鎖と新円切り替えを実行し、国民の多くが資産を失った。この預金封鎖をやめさせようと、不動産王(伊武雅刀)が、大臣たちに賄賂をばらまいて廃案にしようとするのだ。だが、資金が足りない。そこで白羽の矢を立てたのが、過酷なゲーム「バベルの塔」で勝ち抜いたカイジと加奈子(関水渚)。そこに不動産王の秘書(新田真剣佑)たちが加わる。敵対するのは、派遣王(吉田鋼太郎)と首相の首席補佐官(福士蒼汰)。「人間秤」「ドリームジャンプ」「ゴールドジャンケン」と闘いは続く。ファイナルゲームなので、かつての仲間たちが次々と顔を出す。国家を守るために弱者を切り捨てるべきか。国家は国民を守らずに何を守るのか。コロナ禍で大打撃を受けた全世界の人々の問いかけが、この作品の中にはこめられている。

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