ソワレ(20年公開・DVD)

soire.jpg映画「ソワレ」は、豊原功補、小泉今日子、前田和己らが設立した「新世界合同会社」による最初の作品だ。脚本も担当し、タイトルをソワレ(夜会)にした外山文治監督は、作品のテーマを二つ置いている。実父による性被害と、安珍清姫伝説だ。安珍清姫伝説は、和歌山の道成寺に伝わる平安時代の説話で、清姫の恋と狂気を伝えている。作品の中にも道成寺が出ていて、劇団の朗読にも使われている。一方、実父による性被害とそれにまつわる犯罪も描かれているが、双方に関連があるわけではない。東京で高齢者相手の詐欺に加担し、受け子をしている岩松翔太(村上虹郎)は、小さな劇団で俳優をめざしている。劇団が和歌山の高齢者施設の演技指導をすることになり、翔太は故郷の和歌山へ戻る。そこで若い職員の山下タカラ(芋生悠)と知り合う。劇団員たちと祭りに行く約束をしたタカラを迎えに行った翔太は、衝撃的な場面に出会う。タカラが中年男に犯されていたのだ。男と翔太がもつれ合う中、タカラは男を鋏で刺してしまう。男はタカラの実父で、少女の頃から性被害にあってきたという。父は婦女暴行で刑を受けていたが、出所してきたばかりだった。受け子をしていた翔太と、父を刺したタカラは、夢中で逃げ出す。事件はすぐに発覚し、警察が2人を追う。二人はどこへ逃げていくのか・・・。監督の構想の中に、逃げ続けていく若い二人の姿が浮かんだのか、安珍清姫伝説が浮かんだのかはわからない。だが、この作品の逃避行は、恋に落ちた二人の駆け落ちではない。犯罪からの逃避だ。二人は最後に結ばれかけるが、恋とは言えない。清姫の狂気をはらんだ恋情と、父を殺してしまったタカラの胸中はあまりにも違っているだろう。監督の狙いが、現代の駆け落ち、恋ゆえの逃避行を描こうとしたとすれば、かなり狙いは逸れていると思う。

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