カセットテープ・ダイアリーズ(20年公開・DVD)

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原題は「Blinded by the light」(光で目もくらむ)で、ブルース・スプリングティーンの歌詞から取られている。1987年、英国で暮らすパキスタン移民の息子、ジャベド(ヴィヴェイク・カルラ)は、厳格な父、働き者の母、妹、従姉と暮らす。その町・ルートンを、ジャベドは「最低の町」と呼んできた。移民の父は自動車工場で働いていたが、サッチャー政権の新自由主義経済の中、リストラの嵐の中で解雇される。生活のため母は内職を増やし、妹も働き、ジャベドもアルバイトを探す日々。子供の頃から詩をたくさん書いてきたジャベドは、作家を目指すが、父親は認めない。英国内には極右の国民戦線による移民排除運動が巻き起こり、パキスタン移民たちは「パキ野郎」と罵られ、地元の子供たちは面白がって家の中に小便を流し込むありさまだ。だが、ジェベドの父はひたすら耐えて、目立たず、金を稼げる仕事につけと言う。父に従い、家族のために自分の夢を諦め、経済を学んで高給取りの仕事につくべきか、ジェベドは悩む。そんな時、級友のループス(アーロン・ファグラ)からもらったブルース・スプリングティーンのカセットがジャベドの目を開かせる。苦しい生活者の目線から歌われる彼の曲が、ジャベドの胸に沁みる。諦めかけていたジャベドは、もう一度夢に向かい始める・・・。ジェベドがいつも腰に付けているのは、当時世界的に流行していたソニーのウォークマン。そして、ヘッドフォン。日本製の家電が売れていた時代。デジタル革命に乗り遅れる前の日本の輝きが見て取れる。パキスタン生まれのジャーナリスト、サルフランズ・マンズールの回顧録をグリンダ・チャーダ監督が明るいコミカルな青春映画に仕立てている。音楽が各場面でうまく溶け込んでいる。監督も原作者と似た体験をしたという。移民2世の若者たちにとって、明るい未来を予感させる佳作だ。

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