家族(1970年公開・DVD)

山田洋次監督が「寅さん」シリーズの合間を縫って撮った社会派3部作の代表作だ。2021年の現在から観ると、驚く場面はいくつもある。長崎の伊王島にある木材工場で働く精一(井川比佐志)は、美しい妻(倍賞千恵子)と父親(笠智衆)、幼い息子と娘の5人で暮らしていたが、突然北海道の開拓地へ行きたいと言い出す。島の友人が北海道の中標津で酪農をやっ…
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ミッドウェイ(20年公開・DVD)

1942年6月に起きたミッドウエイ海戦の日本側敗北については、戦後様々に議論されてきた。その中で最も注目されたのが米国海軍による日本海軍暗号の解読だった。1976年製作のジャック・スマイト監督「ミッドウエイ」にも暗号解読が出てくる。日本文はひらがな、カタカナ、洋数字、漢数字、アルファベットなど数種類の文字が複雑に混在している。日本語…
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皇国史観(片山杜秀著、文春新書)

近現代史に興味のある読者にとって、満州事変から終戦までの昭和天皇のあり様は、興味深い存在だ。昭和11年に起きた2・26事件では、若き昭和天皇の確固とした判断がなければ、反乱軍の鎮圧は望めない状況だった。戦況が悪くなるにつれ、最後の一勝を望んだために終戦の決断が遅れ、結果的に原爆投下を許してしまったと言う指摘もある。だが、戦時中、国民…
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NHK学園・武蔵野市俳句大会

21年3月20日に「NHK学園・武蔵野市俳句大会」が武蔵野市民文化会館で開かれた。自由題と題詠「光」とを合わせると、投稿句は4297句だった。選者は宇多喜代子氏、岸本尚毅氏、岸本葉子氏、西村和子氏。   * HNK学園武蔵野市俳句大会大賞 冬籠鳥のことばを覚えけり   大分県・後藤史子さん (選評・西村和子)今年の冬は疫病流…
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星の子(20年公開・DVD)

芥川賞受賞前の今村夏子の原作「星の子」は、新興宗教に入信した両親と暮らす次女の視点で描かれている。主人公の林ちひろ(芦田愛菜)が、新興宗教「金星のめぐみ」の信者として生きていく父親(永瀬正敏)と母親(原田知世)を批判的に見ることはない。中学3年生になったちひろが、級友や教師との交わりの中で、両親への批判を始めることもない。作品の中で…
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コンフィデンスマンJP・プリンセス篇(20年公開・DVD)

過去のテレビ脚本家の多くが回想シーンをたっぷりと使った“お涙頂戴”を仕事の中心に置いてきたのとは対照的に、古沢良太は卓抜なアイデア、論理的思考、奇抜なキャラクター、巧みな台詞を武器に良質な娯楽作品を提供してきた稀有な脚本家だ。だが、誰にでも好不調はある。それを如実に示しているのが「コンフィデンスマンJP・プリンセス篇」ではないだ…
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永遠に「新青年」なるもの(神奈川近代文学館2021.3.20~5.16)

21年の春、港の見える丘公園の「霧笛橋」を渡ったところに静かに建っている神奈川近代文学館で雑誌「新青年」展が開かれている。パンフレットによると『江戸川乱歩「D坂の殺人事件」、小栗虫太郎「黒死館殺人事件」、横溝正史「八つ墓村」…。日本ミステリー史上に燦然と輝く傑作の数々を生み出した雑誌「新青年」』とある。雑誌「新青年」は、大正9年に創…
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青くて痛くて脆い(20年公開・DVD)

大学1年の講義中に手を挙げ「この世界に暴力はいらないと思います」と発言した秋好寿乃(杉咲花)。議論が苦手で回りの顔色を見て忖度で物事を決めてしまう日本人集団の中、寿乃の言動は際立っていた。「なりたい自分になり、一人一人がより良いことをすれば世界は良くなる」「世界を良くしたい」理想論女子の寿乃に興味を抱いた田端楓(吉沢亮)は、寿乃…
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ウルフズ・コール(20年公開・DVD)

脚本・監督のアントナン・ボードリーは、外交官出身のコミック作家だという。これが長編映画初監督だというから、驚きだ。完成度の高い緻密な娯楽作品になっている。シリア沿岸に潜むフランス潜水艦「チタン号」の工作員回収作戦から始まるが、息をのむ間もないほどの緊迫感で描かれている。プロットにも意外性があり、この恐ろしい核兵器の攻防戦の終わりはま…
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地中海殺人事件(1982年公開、DVD)

ケネス・ブラナー主演、監督で銀幕に蘇った名探偵、エルキュール・ポワロ。そのポワロが活躍するアガサ・クリスティ―原作「地中海殺人事件」。今は、「アガサ・クリスティー・コレクション」として、5枚のDVDボックスになって流通している1枚だ。原題は、「白昼の悪魔」で、映画作品の中でも、ポワロが眩い太陽を見上げる場面が入っている。1941年に…
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ペイン・アンド・グローリー(20年公開・DVD)

「オール・アバウト・マイ・マザー」「トーク・トゥー・ハー」で世界的名声を得たスペインの巨匠、ペドロ・アルモドバル監督。68歳になった監督が、自叙伝的要素を加えて撮ったのが「ペイン・アンド・グローリー」だ。主人公の著名映画監督サルバドル(アントニオ・バンデラス)は初老となり、原因不明の体の痛みと喘息に苦しんでいる。何錠もの鎮痛剤を砕い…
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推し、燃ゆ(宇佐美りん著、第164回芥川賞受賞作)

高校生のあかりは、アイドルグループ「まざま座」のメンバー、上野真幸を「推す」一人だ。「ラジオ、テレビ、あらゆる推しの発言を聞き取り書きつけたものは、20冊を超えるファイルに綴じられて部屋に堆積している。CDやDVDや写真集は保存用と観賞用と貸出用に常に三つ買う。放送された番組はダビングして何度も観返す。溜まった言葉や行動は、すべて推…
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窮鼠はチーズの夢を見る(20年公開・DVD)

都心の本社へ通う若い会社員、大伴恭一(大倉忠義)は大学時代、同じサークルの夏生(さとうほなみ)とつきあっていたが、別の女性・知佳子(咲妃みゆ)と結婚して2人で暮らしている。仕事で知り合った女性会社員と不倫関係になっていたが、離婚は考えていない。その恭一の前に現れたのが、大学時代の後輩・今ヶ瀬(成田凌)だった。今ヶ瀬は探偵をしていて、妻か…
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