復活の日(1980年公開・DVD)

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2020年から本格化した新型コロナウイルス感染拡大の中、注目された作品のひとつが、深作欣二監督作品「復活の日」だ。角川映画の中でも指折りの大型娯楽作品として知られていたが、注目された原因は、小松左京の原作にある。執筆当時の世界は、冷戦の真っただ中で、原作は冷戦を前提にして書かれている。1982年、東独のライプチヒで極秘に作られていた細菌兵器のM-88が盗まれる。これを奪おうとしたのは、米国陸軍の特殊部隊だったが、飛行機で密かに運び出す途中に雪山に墜落してしまう。M-88は、そこから世界中に拡散していき、世界各国に夥しい死者が出るという設定だ。タイトルには、「復活の日・VIRUS」と出てくる。暴走する強毒性のウイルスが世界を滅ぼしていく物語なので、コロナ禍の不安が重なっていく。このウイルスにはワクチンがないが、低温環境では増殖が抑えられるという設定で、感染から免れたのは、南極で観測を続ける各国の隊員たちということになる。11か国863人の男性隊員と、8名の女性隊員だけが残される。この状況に加わるのが、冷戦時代ならではのARS(自動報復装置)だ。敵から先制攻撃を受けた場合、自動的に核ミサイルが敵国に撃ち込まれるというシステムで、米国東岸に起きる地震の影響でこのシステムが作動することになる。これを阻止するために、南極基地から決死隊の2人がホワイトハウスの地下に潜入するのだが、阻止が間に合わず、核ミサイルが世界中を破壊していく。最後に生き残ったのは、女性たちと数人の男性だけになるという結末だが、あまりに悲惨だ。米国側のキャスティングは、オリビア・ハッセー、グレン・フォード、ジョージ・ケネディー、ボー・ベンソン、チャック・コナーズ、ロバート・ボーンと、日本でも知られた俳優たちが揃っている。若き草刈正雄が、最後にはよれよれの浮浪者となって、生き残った女性たちと再会するのだが、彼の取り合いになるのではないかと心配だ。今回の新型コロナ発生にも、中国武漢のウイルス研究所から実験用のウイルスが流出したのではないかと疑われたが、WHOは公式にその可能性は極めて低いと発表している。今回は、m-RNA型ワクチンが驚異的な速度で量産されたが、ワクチンの取り合いには世界各国がそれぞれの国力に応じてせめぎあいを演じた。映画作品の中では、ワクチンを求める大衆が暴動を起こす場面が入っているが、現実世界ではワクチン接種反対論者たちがデモをしている。マスクもワクチンも嫌いだという人々が多いのが現実社会なのだ。ただ、現実的に描かれているのが、医療現場だ。患者たちが殺到し、医師も看護師たちも「玉砕」してしまう。この光景だけは、映画も現実も似ていて、観るのが辛い。

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