ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ(20年公開・DVD)

last blackman in sa.jpgサンフランシスコへの切実な思いが作品の原点になっている。サンフランシスコに強い思いを抱くことのない日本人の観客には、伝わりにくい部分が多いだろう。主人公のジミー(ジミー・フェイルズ)と友人のモート(ジョナサン・メジャーズ)との会話の中には、日系人の関りが出てくる。戦前から日系人は米国社会に移住して、その一部がサンフランシスコへ移っていた。有力日系人を中心とした人々はこの作品の舞台になっているフィルモア地区にも多数暮らしていたという。彼らが一斉に姿を消したのは、1941年12月に起きた真珠湾攻撃からだ。米国はすべての日系人の私有財産を剥奪し、砂漠地帯のマンザナに造った収容施設に送り込んだのだ。日系人がいなくなったフィルモア地区に住み始めたのが、黒人たちだったという。フィルモア地区の名物になっていたのが、1860年代に建てられた壮麗なヴィクトリアン・ハウスで、この作品も美しいヴィクトリアン・ハウスで撮影されている。作品の原点は、ジミー・フェイルズの実体験にあるらしい。それを聞いた幼馴染のジョー・タルボット監督が脚本を練り、資金を集め、映画製作を始めていったという。ジミーは6歳まで家族とヴィクトリアン・ハウスで暮らしていて、その時の美しい思い出を今でも抱いている。その家は、祖父が作ったものだと信じているが、最後には意外な事実が現れる。ジミーの親友、モントの視点からジミーの抱く美しいサンフランシスコへの幻影が描かれるが、実際の町には犯罪がはびこり、浮浪者たちが増えている。タイトルの「ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ」は、ラスト近くでモントが演じる一人芝居の題名になっている。そのタイトルに籠めた想いは、米国生活を知らない日本人にはわかりにくいだろう。

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント