ストックホルム・ケース(20年公開・DVD)

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犯罪に巻き込まれた人質と犯人との間に恋愛感情が生まれ、人質が犯人に感情移入してしまう心理状態は、ストックホルム症候群と言われる。この作品に描かれているのは、その語源となった実際の事件の顛末だ。ダニエル・ラングの記事を元に、ロバート・パドロー監督が脚本も担っている。1973年、ストックホルムの大銀行「クレジット銀行」に、ラース・ニーストロム(イーサン・ホーク)が、押し入る。ラースは、銃を発砲した後、2人の女性行員を人質に取る。警察に対する要求は、カルマル刑務所に入っているグンナー・ソレンソン(マーク・ストロング)を連れて来いというものだ。警察署長(クリストファー・ハイアーダール)が対応に当たるが、首相は人質と犯人の逃亡を許さない。ラースは、人質を連れて逃走しようとするが、その要求は通らないのだ。警察署長たちとラースたちの攻防が始まるが、そのうち、人質になったビアンカ(ノオミ・ラパス)は、次第にラースに惹かれていく。ビアンカは、夫と幼い子供2人と平凡に暮らしている。そのビアンカの人生に、突然劇的過ぎる濃密な時間が訪れてしまったのだ。ビアンカは、ラースの求めに応じて、防弾チョッキを着込んでラースに撃たれ、死んだふりまでしてしまうほど。ビアンカの死を信じた署長らは、2人目の人質の犠牲を防ぐためにラースの要求を呑もうとするが…。銀行強盗を突然やってしまうラースの心理はよくわからない。要求も服役中の親友の釈放と現金、逃走用の車だが、計画性はない。若い頃にぐれて、犯罪者となった過去をビアンカに語る場面もあるが、ラースは凶悪犯罪のできない男なのだ。強盗に入った老夫婦の家で、急に苦しみ出した老人に薬を与えて助けたため、逮捕されてしまった善人強盗でもある。事件の中で、ビアンカの夫が出てくるが、子供の世話もするいい夫だ。だが、事件の後でもビアンカはラースを想っているという。刑務所まで面会に行くほど。ビアンカは、事件のことが忘れられないという。平凡過ぎる日常の中、犯罪映画のヒロインになったかのようなサスペンスフルな非日常的“人質時間”が、ビアンカには眩く輝いて見えたのかもしれない。

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