糸(20年公開・DVD)

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平成から令和へと元号が変わる時を狙った恋愛大河ドラマだ。平成元年生まれの主人公たちが、平成13年から平成31年までの18年間を生きていく物語。平野隆原案、林民夫の脚本の中に織り込まれているのは、平成21年のリーマンショックと平成26年の東日本大震災だが、主人公の2人との関わりは深くない。北海道の美瑛で知り合った中学1年の高橋漣(菅田将暉)と園田葵(小松菜奈)の18年間のすれ違いを2時間10分で描かなければならないから、様々な工夫が必要だ。映画は時間芸術といわれ、小説なら短編小説を得意としている。短く、凝縮した物語が映画になりやすいのだ。ヒッチコックの「ロープ」は、ひとつの部屋だけで描かれている。物語の時間が長くなると、緊張感が途絶え、テーマが薄れていく。「風と共に去りぬ」は、例外中の例外。奇跡的な成功作だ。この作品は、時間軸に沿って舞台を広げていく。北海道で始まる物語は、東京、沖縄、シンガポール、そして最後は北海道に戻るという構成だ。漣は美瑛と東京のみだが、葵は沖縄、シンガポールへと移っていく。漣の葵への想いは最後まで貫かれるが、葵は義父から受けた暴力の忌まわしい記憶から逃れるように、北海道を忘れようとしているから、漣への想いが続いているわけではない。漣は職場の先輩(榮倉奈々)と結婚し、娘に恵まれるが妻は癌で早世する。葵はキャバクラ嬢となり、社長(斎藤工)と同棲するが、社長はリーマンショックで失敗し、沖縄へ逃げる。葵は社長を追うが、逃げられ、シンガポールで事業に成功する。だが、共同経営者(山本美月)に裏切られて財産を失う。中学1年のときに2人は駆け落ちするが、その後3回再会するから、すれ違いメロドラマというわけではない。すれ違い風に描かれるのはラストのフェリー乗船場での場面だけで、そのまま2人は抱き合って花火まで壮大に打ち上げられる。2人は結婚し、祝福される場面で終る。瀬々敬久監督の演出は無難で無理がないが、この題材は映画より連続テレビドラマに向いているようだ。

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