アメリカン・アニマルズ(19年公開・DVD)

「アメリカの鳥類」は、野鳥画家ジョン・ジェームズ・オーデュポンによる巨大な画集だ。一人ではとても抱えられないほどの大きさで、トランシルヴァニア大学図書館に保管されている。バート・レイトン監督の作品はドキュメンタリーとドラマとが混在している。本人と本人役の俳優たちが交互に現れ、この犯罪の詳細を描き出していく。2003年、ケンタッキー大学の…
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マトリ・厚労省麻薬取締官(瀬戸晴海著・新潮新書)

マトリは、厚生労働省麻薬取締官の略称だ。「マトリには、約300名の麻薬取締官が存在している。麻薬取締官は薬物犯罪捜査と医療麻薬等のコントロールに特化した専門家で、半数以上を薬剤師が占めている。おそらく世界最小の捜査機関である」と、著者は記している。本書に載っている年代別麻薬事件を見ると、「2017年―アフガニスタンのあへん生産量約900…
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地獄少女(19年公開・DVD)

ユニバーサル映画が出資した作品だ。ハリウッド大手も、地獄少女の怪しさに魅入られたのか。脚本も担当した白石晃士監督が創った物語は、1965年から始まる。同級生に頬を叩かれ、苛められていた少女が救いを求めたのは、地獄通信。当時は新聞の求人広告と電話でアクセスできたという設定。少女の願いは叶って、地獄少女によって苛めていた同級生は地獄へ落…
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ロマンスドール(20年公開・DVD)

美大を出た青年が、先輩に紹介されて訪れたのは、場末の工場。だが、そこでは意外なものが作られている。それは、シリコン製の“ラブドール”。男性専用のアダルト商品だ。「久保田商会」が求めていたのは、若い造形師だった。脚本・監督のタナダユキが、自らの原作小説を映画化したものだが、個性的な世界を舞台に、夫婦愛を独特な形で描いている。ラブドール…
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暁に祈れ(18年公開・DVD)

息を呑む凄まじい作品だ。イギリス人・ビリー・ムーアの原作をジャン・ステファーヌ=ソヴェール監督が、主人公の目を背けたくなるほど過酷な実体験をリアルな映像で描き尽くしている。タイでムエタイのボクサーをしているビリー(ジョー・コール)は、ファイトマネーを麻薬に注ぎ込んでいる。タイでセーバーと呼ばれるヘロインに溺れているのだ。が、突然警察…
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故郷(1972)(1972年公開・DVD)

60年代のテレビの普及によって苦境に立たされた日本映画界の中で、松竹を支えて来たのは山田洋次監督ただ一人だった。ヒットシリーズ「フーテンの寅」だけが、松竹を支えていたため、会社は監督に次々と新作を求めた。多忙を極める山田監督だったが、寅さんシリーズとは別の社会派路線の作品も定期的に発表して来た。72年公開の「故郷」は、瀬戸内海の小島、倉…
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台風家族(19年公開・DVD)

17年にジャニーズ事務所を退所したSMAPの稲垣吾郎、香取慎吾、草なぎ剛の3人は、それぞれに個性的な映画に出演してきた。稲垣吾郎は「半世界」、香取慎吾は「凪待ち」、草なぎ剛は「台風家族」だ。この作品は、銀行強盗を働いて失踪してしまった父親と母親の葬儀が舞台になっている。タイトルは、この葬儀の日に台風がやってくるという設定を示している…
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ヒトラーの忘れもの(16年公開・DVD)

英語のタイトルは「LAND OF MINE」地雷地帯、デンマーク・ドイツ語のタイトルはいずれも「砂の下」となっている。「ヒトラーの忘れもの」は、デンマークの海岸に埋められたままの地雷のことだ。戦時中、ドイツ軍は連合軍の海からの侵攻を防ぐためにデンマークの海岸に無数の地雷を埋めた。作品の中では、220万個だったという。このうち、150…
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トッカイ(清武英利著、講談社)

元読売巨人軍球団代表だった清武英利氏は、70歳になった今、ノンフィクション作家として話題作を次々と世に出している。「トッカイ」とは、不良債権特別回収部のことだ。戦後、日本は高度経済成長を成し遂げ、巨額のジャパンマネーは世界を席巻していた。日本の失敗は、米国の資産買収に手を伸ばしたことだった。脅威に感じた米国は、85年にプラザ合意を日…
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あゝ、荒野・前編(17年公開・DVD)

寺山修司の原作を、港岳彦と岸善幸監督が脚色している。公開後、高く評価されたこの作品で、菅田将暉は17年度キネマ旬報主演男優賞ほか、数多くの演技賞を手にした。舞台は2021年の新宿。自衛隊入隊を促進する社会奉仕法案をめぐって世論が騒ぎ、ある大学では自殺防止フェスが企画され、新宿ビル街で大爆発が起きている。振り込め詐欺をしていた施設育ち…
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ダゲレオタイプの女(2016年公開・DVD)

「スパイの妻」で第77回ヴェネチア国際映画祭銀獅子賞を受賞した黒沢清監督の2016年公開の作品で、フランス・ベルギー・日本の共同制作になっている。ホラー作品でも知られる黒沢監督が取り上げるのは、巨大なカメラだ。170年前には使うものがいなくなった旧式カメラは、モデルに苦痛を強いる。作品の中で描かれる撮影方法は異様なもので、1時間を超…
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セトウツミ(06年公開・DVD)

20年にも「星の子」「MOTHER」と話題作を発表している大森立嗣監督作品だ。主な登場人物は高校2年生の内海想(池松壮亮)と瀬戸小吉(菅田将暉)。場面は主に、川沿い。関西の町中を流れる川沿いのコンクリー階段の上だ。1時間12分間の作品は、第0話からエピローグまで8話から構成されている。といっても、これらは時系列に並んでいて、特段…
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悪の華(19年公開・DVD)

狂気のヒロイン・仲村佐和を演じる玉城ティナの熱演と妖しい魅力が光った作品だ。押見修造の原作は、独特な世界を広げている。タイトルの「悪の華」は、ボードレールの詩集で、主人公の中学2年生、春日高男(伊藤健太郎)が愛読している。本の表紙にも描かれている画家オディロン・ルドンの怪異な黒い目玉が象徴的に使われている。山に囲まれた静かな町からは…
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2002年・日本の岐路

18年前の2002年に、日本は大きな岐路に立たされていたことが、9月末日に行なわれた原発訴訟・仙台高裁判決で示されたといえる。政府の地震調査研究推進本部は2002年7月、三陸沖から房総沖にかけての地震活動の長期評価を公表した。判決文の要旨(毎日新聞10/6朝刊)によれば、「長期評価は相当程度に客観的、合理的根拠を有する科学的知見」で…
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さよならくちびる(19年公開・DVD)

原案・脚本の塩田明彦監督が、このラストシーンを最良のものとしているのかはわからない。観客にとっても異論のあるところだろう。クリーニング工場のバイト仲間として知り合ったハル(門脇麦)とレオ(小松菜奈)。ギターで曲を作っていたハルに誘われて、レオもギターを習って、デュオ“ハルレオ”が生まれる。ハルは同性愛者だが、それを隠して孤独に生きて…
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大岡昇平の世界展(神奈川近代文学館)

新型コロナウイルスの影響で延期になっていた「大岡昇平の世界展」が神奈川近代文学館で開かれている(20年11月29日まで)。98年に79歳で亡くなった大岡は、若き日に小林秀雄、中原中也らと出会い、スタンダール研究家として知られた。戦争末期の44年に35歳で出征し、九死に一生を得て帰還した。出征当時、すでに結婚して子供が二人いたから、まさに…
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くるみ割り人形と秘密の王国(18年公開・DVD)

ディズニー製作のファンタジー。チャイコフスキーのバレー「くるみ割り人形」の実写化だというが、チャイコフスキーの美しい旋律が次々と挿入されるのは、前半までで、後半はヒロイン・クララとブリキの兵隊軍団との戦いになってしまった。ロンドンのクリスマスイブ。大好きだった母親・マリーを亡くしたクララ(マッケンジー・フォイ)は、父、姉、弟と大きな…
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野鳥俳壇(日本野鳥の会報「野鳥」20年9・10月号掲載)

日本野鳥の会の会報「野鳥」には、会員からの見事な写真や、俳句、短歌が載っている。俳句コーナー「俳句を詠もう」の選者は、青森県在住の俳人、辻桃子氏。 【特選】 仕舞い湯のうつらうつらに時鳥(ほととぎす)      福岡県・野鳥メイさん (選評)仕舞い湯でうとうとしていたら、突然時鳥が鳴いた。のんびり感と鋭い声との対比がよい。…
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野鳥俳壇(日本野鳥の会報「野鳥」20年9・10月号掲載)

日本野鳥の会の会報「野鳥」には、会員からの見事な写真や、俳句、短歌が載っている。俳句コーナー「俳句を詠もう」の選者は、青森県在住の俳人、辻桃子氏。 【特選】 仕舞い湯のうつらうつらに時鳥(ほととぎす)      福岡県・野鳥メイさん (選評)仕舞い湯でうとうとしていたら、突然時鳥が鳴いた。のんびり感と鋭い声との対比がよい。…
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渋沢家三代(佐野眞一著、文春新書)

 21年NHK大河ドラマ「青天を衝け」で描かれ、24年発行予定の新一万円札の顔となる渋沢栄一とその子供、孫たちを描いたのが、佐野眞一著「渋沢家三代」だ。平成10年に書かれたこの作品は、著者が「旅する巨人―宮本常一と渋沢敬三」を書いたことにある。栄一の孫、敬三は渋沢家の3代目宗主として生まれ、戦時中は日本銀行総裁、終戦直後は大蔵大臣に…
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