第22回NHK全国俳句大会(2021年)


今回は新型コロナウイルス感染防止のために例年行われてきたNHKホールでの大会は中止となった。今回の投句数は、題詠と自由題合わせて40144句だった。

*大会大賞

拭き上げて雪の匂ひの生家かな   東京都・冬魚

(選評)井上康明「雪国の生家から離れて都会に暮らす人を思った。冬を迎えるために久しぶりに帰って、家の中を掃除し、床や柱を拭き上げたのだろう。かつて暮らした思い出が蘇り、やがてやって来る雪の季節と冬籠りの日々を思いだす。しんと静かでたしかな雪の匂いがするのだろう」
(選評)櫂未知子「久しぶりに訪ねた『生家』なのでしょうか、すみずみまで拭き清めた作者はふっと『雪の匂ひ』を感じたのでしょう。育った風土、そしてそこではぐくまれた家族の歴史が感じられ、とても美しい句になりました。一句の構成もみごとです」

銀漢や未来は生まぬ砂時計     鹿児島・久永のり尾

(選評)対馬康子「砂時計の砂が細く水のように落ちていく。それは今現在という瞬間の粒です。何度逆さまにしても未来は生まれません。タイムマシンがあったとしても、決して砂時計型ではないでしょう。永劫の銀漢の夜空に見えない未来を思います」
(選評)宮坂静生「天の川というつるっとした感じではなく、星の集まりの銀漢。窓辺に置いた砂時計。卵を茹でたり、ブロッコリーを湯搔いたりするときに使う。砂はあわれ。計器の中を永遠回帰。また立て直されてぐるぐる廻るだけ。未来という出口がない。これは大変な句だ。銀漢系宇宙には未来があるのだろうか」

木々の影深く沈めて冬の水     東京・川副康孝

(選評)宇多喜代子「中村草田男の『冬の水一枝の影も欺かず』を思い出させるが、似て非なる句である。水はたとえ30センチ程度の水深であっても、亭々たる木を映す。張りつめた冬の水が木々の全容を映している。その様が中七によく表現されている」

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