第24回毎日俳句大賞・2021年

投句数は一般の部5700句、こどもの部は1万2000句、国際の部1000句だった。

*大賞

炎天や少年水を縦に飲む     湯田一秋(福島県会津若松市)

(選評)津川絵理子「立ったまま口を大きく開けて、喉の奥へ水を流し込む。下五の鮮烈な表現が、少年の渇きを的確に表現した。炎天、少年の体内を落下する水、縦の構図が面白い」
夏井いつき「後半の表現は一見強引に思えるが、季語『炎天』と『少年』ゆえの説得力だ。ペットボトルの水を一気に飲むさまを想起したのも『縦』の一語の迫力か。見上げる炎天がまぶしい」

*準大賞

いつかわが柩の渡る虹の橋    最東峰(栃木県那須烏山市)

(選評)石寒太「いつか自分が死んでひつぎに入る時、あの虹の橋を渡ってよみの国へいくことになるだろう。死という『暗』と、虹という『明』、その明暗が一句の中にゆくりなく詠みこまれた佳句となった」

*こどもの部最優秀賞

爪切りを鳴らせばコスモスの揺れる   水野結雅(名古屋市守山区)

(選評)夏井いつき「『爪切り』と『コスモス』は何の関係もありません。が、その音と動きが連動していると感じ取るところに詩が生まれます。爪を切る音も揺れやまぬコスモスも、小さな秋のかけらです」

*優秀賞

万緑や山のごとくに兜太あり    水野幸子(愛知県岡崎市)
(選評)井上康明「金子兜太没後2年数カ月。兜太への敬仰の思いを万緑の風景に託す。眼前には、山や野原が果てしなく広がっているのだろう。十重二十重の濃い緑の生命の輝きに金子兜太を思う」

曲がるたび春濃くなりぬ千曲川     青柳カズヒト(京都市右京区)
(選評)宇多喜代子「山間から海までを流れてゆく千曲川。上流ではいまだ浅春の瀬音であった流れが、少しずつ春を深めて河口まで旅をする。堤の草木、川面にうつる雲。ゆったりしたいい句だ」

被災地の闇生きてをり初蛍     齋木富子(神戸市兵庫区)
(選評)高野ムツオ「東日本大震災に限ることはない。近年各地で発生した集中豪雨被災地を想像してもよい。停電の間、しかし、その中でも人間も蛍も、そして、闇自体が生きてうごめいている」

見送って取り残されし風の盆    曽根新五郎(東京都新島村)
(選評)正木ゆう子「華やかににぎやかに、踊りの列を見送った後の寂しさが、読者にも惻々と伝わる。『取り残される』という感情を、予測していなかったのだ。どこか人生にも通じるような」

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