浅田家!(20年公開・DVD)

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中野量太監督は、家族を専門としてきた。大評判を取った「湯を沸かすほどの熱い愛」では風呂屋の家族を描き、「長いお別れ」では、認知症を患った父親と娘たちの物語を描いた。「浅田家!」は、実在の写真家、浅田政志をモデルとした家族の物語だが、この作品は才能とは何かを問いかけてもいる。少年の頃、専業主夫の父親(平田満)から譲り受けたカメラが、政志(二宮和也)の才能を目覚めさせる。写真が好きになった政志は、高校を卒業して大阪の写真学校へ入るが、ろくに通学もせず、卒業が危うくなってしまう。学校は、「渾身の1枚を撮れば卒業もありうる」と通告する。「渾身の1枚」に迷った政志が辿り着いたのが、父親、兄、自分が一度に怪我をした時の滑稽な家族写真だった。この1枚が学園長賞に輝き、無事に卒業。だが、政志は就職せずにパチンコと釣りの日々。そんな政志の目を覚ましたのは、父親の夢を叶える写真を撮ることだった。看護士長になった母親(風吹ジュン)の代わりに、勤めを辞めて家事を引き受けてきた父親の若い頃の夢は、消防士になることだったと知った政志は、兄(妻夫木聡)に頼み込んで友人の消防士に協力を求める。消防署の協力で実現したのが最初の家族写真で、父母と兄、政志自身も消防士になりきったコスプレ写真の始まりだった。一家は、次々といろんなコスプレ写真を撮り始め、集まった写真を持って、政志は上京する。転がり込んだ先は、同級生だった若菜(黒木華)の部屋。写真スタジオで働きながら、写真集出版に努力するがどこからも拒まれてしまう。若菜が金を出して個展を開いてようやくチャンスがやってくる。零細出版社から写真集「浅田家」が出たのだ。だが、全然売れず、政志は失望するが、そこへ「木村伊兵衛賞」受賞が決まる。ここまで見てくると、次男坊だった政志を支えた人々がくっきりと描き出されていることに気づく。写真学校を出ても就職せず、パチンコ三昧の日々を送っていた政志を責めもせずに見守っていた家族。上京した後、生活を支えた恋人。売れないとわかっていながら、写真集を出版した社長。政志の成功は、こういった人々の支えがなければ有り得なかったのだ。後半、作品の中では東日本大震災での政志のボランティア活動が描かれる。この作品のお蔭で、さらに写真家・浅田政志ファンは急増しただろう。政志自身が映画化されたことを含めて、実に強運に恵まれた人物だといえる。才能とは、運も含めて、そういうことを指している。

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